株式会社みちのくあかね会

≪守り≫から≪攻め≫のクラウドファンディングで本社移転の資金調達!

相談のきっかけ

突然の本社移転の話に、何から準備をしていけばいいのか分からない状態
当社は「ホームスパン(羊毛を手染め・手紡ぎ・手織りした毛織物)」の製作所として昭和37年に設立。前身は、戦後復興期において夫を失った女性を支える役割を担った「盛岡婦人共同作業所」であり、長きに亘り手織りの技法を守りホームスパン独自の魅力と可能性を未来へと紡いでいる。また、製作から運営まですべてを女性が行っており、ジェンダーギャップが叫ばれる現代において、女性活躍を牽引する企業の一つとなっている。
戦後まもなくから盛岡の地で操業している本社工場兼事務所。地域に親しまれ趣のある建物ではあったものの長い歴史を経て老朽化も進んでおり、貸主である市より立ち退きを要求されたことから、移転に向け何から準備していけばよいのかとの相談でご来所。当初は移転先も決まっておらず、また移転に先立ち資金面にも不安があったことから、融資や補助金・助成金などの活用も含め幅広く情報収集をしたいという思いであった。

課題整理・分析

立ち退き期限が迫る中、銀行融資などを視野に事業計画策定に着手
現在使用している機械設備は移転先でもそのまま使用する計画であり、移転のための所要資金の多くは織機など機材の移動費用として掛かるものであった。移転にかかる大まかな見積もりを取ったところ、数百万円単位での資金が必要となることが判明。今回の移転は急遽降って沸いた話であり、当然のことながら資金の積み立てなどもしておらず、資金調達に頭を悩ませていた。
そのため、銀行融資の申込みを中心に、補助金・助成金申請、クラウドファンディングなど外部からの資金調達を行うための事業計画策定が課題であり、その作成フォローを支援のメインに据えることとした。また、今回の事業計画策定は資金調達のためだけではなく、当社の未来を考える上で不可欠なものであるということをご理解いただいた。

解決策の提案と実施

売上収益計画の検討から銀行融資・返済計画まで具体策についてアドバイス
現状の事業面・組織面についてのヒアリングを重ねながら課題を整理するとともに、当社がどのような未来像を描くのか、またどの程度の売上目標を見据えるべきか、そのためにはどのような商品ラインナップにし、生産体制の構築や人材育成をどのように進めていくべきなのかディスカッションを重ねていった。
その間、並行して金融機関への融資相談も行っていただき、打診した銀行からは本件融資について前向きな回答を得られるに至った。さらに、社内でも移転についての話し合いを進めた結果、融資など外部からの資金調達に依らず役員からの借入を検討できることとなり、結果的に移転費用に関しては銀行融資不要で進められることとなった。資金面に関しては、当初の想定以上に順調に進むこととなった。
このような状況の下、クラウドファンディングを「移転費用捻出に迫られ」という≪守り≫の姿勢ではなく、「ホームスパンを広く知ってもらい使ってもらう」という≪攻め≫に活用する方針に転換。国内大手のクラウドファンディング事業者であるCAMPFIREとの交渉も積極的に進められ、プロジェクトリリースに至った。

支援の成果

クラウドファンディングにおいて目標金額の120%達成
クラウドファンディング・CAMPFIREにて≪盛岡の手仕事ホームスパン「Reborn みちのくあかね会」昭和の設備を移転したい≫と題するプロジェクトをリリース。当初目標金額300万円に対し、結果は360万円を超える支援が集まった。
現在は移転も完了し新たな工場で操業を再開されているが、今回のクラウドファンディングのリターン品の生産・発送もあり忙しい日々を送られている。
今後は、繁忙が落ち着いた頃合いを見計らい、仕掛中となっている事業計画書の策定を継続していく予定。

◎相談者の声

旧体制から引き継いだばかりで経営改革の相談を始めたなか、平常運転もままならないところ急遽持ち上がった移転の計画について支援していただき、たいへん心強かったです。今後は明らかになった会社の経営の問題点に、引き続き取り組んでいきたいと思います。

◎岩手よろず支援のポイント

事業計画書策定の意義を「資金調達のため」と捉えるのではなく、あくまでも当社が将来どうありたいのか、どうあるべきなのかの意志を示しその目標達成に向け計画的に進めていくためのツールとして活用していただくようアドバイスした。また、今回は金融機関への提出を前提に作成を進めていったものであるが、計画作成に慣れていないこともあり専門用語などはできるかぎり使わずかみ砕いて説明するよう心掛けた。

担当コーディネーター:藤澤 哲平CO

株式会社みちのくあかね会
◎代表者名/代表取締役 高橋 千賀子
◎住所/岩手県盛岡市大慈寺町10-34
◎電話番号/019-622-2648
◎HPアドレス/https://www.michinoku-akanekai.com/